命を絶つ程の苦しみから解放|誰にでも起こるうつ病について知る

受診をためらっている方へ

先生

医師への相談が入口

現在100万人を超える人が、うつ病治療のために医療機関を受診していると推測されます。実際にはその3倍のうつ病患者が全国にいると見られます。うつ病患者の少なくとも3分の2は病院へ行かずに日常生活を送っているのです。多くの患者は病院を受診することをためらいます。身体症状が出ている場合でも、単なる体調不良で済ませている人が少なくありません。心の症状を自覚しても病気だとは認めたくないため、特に精神科を訪れることには多くの人が抵抗を覚えるものなのです。うつ病はさまざまな原因によって脳内の神経伝達物質が減少する病気です。心の症状が中心のため、周囲の人ばかりでなく患者自身も病気だという認識を持つのが遅れがちになります。うつ病は単なる精神的な落ち込みでもなければ、性格の問題だけで済まされるものでもありません。もちろん性格や出来事などが発症の引き金になることもありますが、そうした原因によって脳の神経伝達能力が低下しているのですから病気の一種なのです。病気だということは、身体の病気と同様に薬を飲んだりその他の治療法を実施したりして、治療することは十分に可能です。うつ病はかつて「心の風邪」とも呼ばれていました。身体の風邪なら休養によって自然治癒も期待できますが、うつ病の場合は放置しておくと悪化する例も多く、自然治癒はあまり期待できません。心療内科や精神科などの病院を受診し、医師に相談することが治療につながります。そのためにもまず、勇気を出して病院を訪れることが治癒への入口なのです。

心身両面からの治療

心療内科や精神科を受診すれば、まず問診と検査が行われます。心の症状を見極めるためにも問診は特に重要です。心療内科や精神科の医師は心の専門家ですから、正確な問診によって患者の心の状態を知れば、最適な治療法を決めることができます。病院では医師を信頼して、心の状態を包み隠さず打ち明けることが何よりも大切なのです。治療には休養、薬物療法、精神療法という3つの方法があります。この3つをうまく組み合わせることによって、うつ状態も改善していきます。受診が遅れて症状が重くなっている場合は治療に時間がかかるかもしれません。焦らず急がず、医師の言葉を信頼して気長に治療を続けることが大切です。場合によっては日常生活の環境改善や、休職・入院が必要になることもあります。そうやって心身両面から治療を続けていくことにより、脳内の神経伝達も少しずつ改善していきます。病院を受診せずうつ病を放置しているケースと比べ、その回復力には大きな差が出てきます。それは薬による化学的な効果に加え、主として医師や臨床心理士との対話を通じた精神療法の効果でもあります。精神科医や臨床心理士は心のプロですから、どうすれば患者の心がうつ状態を脱することができるかを熟知しているのです。精神療法を通じて、何事も前向きに考えられるようになれば治療の成果が上がっている証拠です。症状改善を薬の効果がさらに高めていきます。休養による心身両面からのリフレッシュも手伝って、うつ病患者は心の健康を取り戻すことができるのです。